まぁいっか
許容力について
―「まぁ、いっか!」という考え方―
そもそも「許容」とは、何でしょうか。
許容とは、「そこまではよいとして認めること」や「大目に見ること」を意味します。「受け入れる」「了承する」といった言葉のほか、「気持ちの広さ」「懐の深さ」「おおらかさ」といった姿勢にもつながります。
では、なぜ今回、許容力について取り上げるのでしょうか。
それは、受け止められる範囲が狭くなっていると、生きづらさや、日々の生活のしんどさにつながることがあるからです。
受け入れにくさが、生活のしんどさになること
例えば、これまでお金を自由に使っていたものの、結果として生活に困窮してしまったとします。
ほかの人にお金の管理を手伝ってもらうことで生活は安定しました。しかし、「自分のお金をほかの人に管理されることが受け入れられない」と感じ、お金の話をするだけでしんどくなることがあります。
また、仲のよい支援者が、ほかの利用者様と楽しそうに話している場面を見て、「自分は必要とされていないのではないか」と考えてしまうこともあります。
ユーモアのある会話に触れる機会が少なかった方は、冗談や大きなリアクション、豊かな感情表現を受け止めにくいことがあります。ご近所の方との挨拶や、ちょっとした会話に負担を感じる場合もあります。
例えば、何気なく「今日は何時に帰るの?」と聞かれただけでも、
「早く帰ったほうがよいのかな」
「早く帰ってほしいという意味なのかな」
と、自分にとって苦しい方向へ解釈し、しんどさを感じることがあります。
大人数が参加するレクリエーションでも、多くの人と一緒に過ごすことを受け止めきれず、疎外感を抱くことがあります。
心を少し軽くする「まぁ、いっか!」
このような気持ちに対して、ちるほーむではどのように寄り添っていくのか。
そこで大切にしているのが、「まぁ、いっか!」という言葉と考え方です。
お金の管理を手伝ってもらっているけれど、生活は安定してきたから、「まぁ、いっか!」
大好きな支援者がほかの利用者様と話しているけれど、また自分とも話してくれるから、「まぁ、いっか!」
この人はいつも冗談を言っているけれど、悪気はなさそうだから、「まぁ、いっか!」
帰宅時間を聞かれただけで、深い意味はなさそうだから、「まぁ、いっか!」
大勢でのレクリエーションは少し苦手だけれど、まずはその場にいてみよう。「まぁ、いっか!」
このように考えることで、必要以上にしんどさを抱えたり、ストレスをため込んだりせずに生活できることがあります。
肩の力を抜き、毎日を少し気軽に過ごすこと。そのための考え方として、ちるほーむでは「まぁ、いっか!」をお伝えしていきたいと思っています。
「まぁ、いっか!」で済ませてはいけないこと
「まぁ、いっか!」は、どのような場面でも使える言葉ではありません。
約束した帰宅時間に遅れるにもかかわらず、連絡をしないままでは、周囲の人に心配をかけてしまいます。また、生活に困っているからといって、他人の物を持ち去ることは許されません。
「まぁ、いっか!」は、約束やルールを軽く考えるための言葉ではありません。あくまでも、自分の感情を整え、必要以上に自分を追い込まないための言葉です。
その一方で、「ここはきちんとしなければならない」ということも、併せてお伝えしていく必要があります。
いろいろな人と関わり、受け止める力を育てる
利用者様の中には、「人間関係がうまくいくようになりたい」という目標を掲げている方もいらっしゃいます。
この目標へ近づいていただくため、ちるほーむでは、さまざまな個性や役割を持つ支援者が関わります。
まず気持ちを受け止め、緊急時にも安心して頼ることのできる支援者。
同性だからこそ話しやすい悩みに耳を傾け、落ち着いて話を聞く支援者。
ユーモアのある話し方やさまざまな働きかけを通じて、自然に人との関わりを増やしていく支援者。
それぞれの支援者が個性を生かして関わることで、「世の中にはいろいろな人がいて、さまざまな考え方がある」ということを知っていただきます。
コミュニケーションの経験を重ねながら、少しずつ受け止められる範囲を広げ、柔軟に考えられるようになることを目指して支援しています。
支援者にも必要な許容力
この許容力は、利用者様だけでなく、支援者にとっても必要なものです。
利用者様の思いや行動を、支援者側が十分な余裕や許容力を持たずに受け止めようとしても、本当の意味で寄り添うことはできません。支援者が疲れ、支援を続けることが難しくなる可能性もあります。
支援者の許容力を広げるためには、座学や研修を含め、継続して支援力を高めていくことが欠かせません。
もちろん、支援者も一人の人間です。悩むこともあれば、考え込んだり、立ち止まったりすることもあります。
そのようなときこそ、一人で抱え込まず、周囲の支援者に相談し、互いに協力することが大切です。
チームとして支え合う
一人の支援者だけですべてを受け止めようとするのではなく、チームとして支え合うこと。
それが支援者同士の許容力を高め、利用者様に対する、よりよい支援につながっていくのだと思います。