コラム

軽度知的障害のある方のグループホームでの暮らし|自分のペースで、地域で暮らす

「グループホームって、どんなふうに暮らしているんだろう?」。入居を考えるとき、そこでの毎日を思い浮かべられると、ぐっと安心につながります。

今回は、軽度知的障害のある方のグループホームでの暮らしを、架空の入居者Aさんの一日を例に、困りやすい場面や暮らしやすくなる工夫とあわせてご紹介します。

軽度知的障害とは?

知的障害とは、おおむね18歳までの発達期に、考えたり理解したりする力(知的機能)の発達がゆっくりで、日常生活や社会生活の中で困りごとが生じている状態です。生活の中での困りごとの大きさによって、「軽度」「中等度」「重度」「最重度」に分けられます。

軽度知的障害のある方は、日常の会話ができ、身の回りのこともおおむね自分でできることが多くあります。一方で、長い説明や、お金のやりくり、書類の手続き、先の見通しを立てることなどに、難しさを感じやすいといわれています。

得意なことや苦手なことは、一人ひとり違います。

グループホームの住まい

グループホームは、数人から10人ほどの入居者が、ひとつ屋根の下で暮らす住まいです。

一人ひとりに自分のお部屋があり、鍵をかけられるところがほとんどです。お気に入りの家具やポスターを置いて、自分らしいお部屋にしている方もいます。リビングや食堂、お風呂などは、みんなで使うところもあれば、お部屋ごとに付いているところもあります。

「家族と暮らす家」と「一人暮らしの部屋」の、ちょうど中間のような住まい、とイメージしていただくとわかりやすいかもしれません。
窓辺のソファで、自分のペースでくつろぐ様子のイラスト

Aさんの一日(例)

ここでは、軽度知的障害のある20代のAさん(架空の人物です)の一日を例に、グループホームでの暮らしをのぞいてみましょう。

6:30 目覚ましで起きて、顔を洗う。今日の予定は、壁のカレンダーで確認。

7:00 食堂で朝ごはん。ほかの入居者と「おはよう」とあいさつを交わす。

8:00 「いってきます」と声をかけて、送迎バスで作業所へ。

9:00〜16:00 作業所で、パンの袋づめの仕事。お昼は作業所でお弁当。

16:30 ホームに帰宅。「ただいま」「おかえり」。スタッフに今日あったことを少し話す。

17:30 洗濯物を取り込んで、お風呂に入る。

18:30 夕ごはん。今日のおかずは、ハンバーグ。

19:30 自分のお部屋で、好きな音楽を聴いたり、スマートフォンで動画を見たり。

21:00 明日の持ち物を確認して、そろそろ寝る準備。

特別なことは何もない、ふつうの一日です。けれど、困ったときに「ちょっと聞いてもいい?」と声をかけられる人がそばにいることが、Aさんにとっての安心になっています。
玄関で「おかえり」と迎える様子のイラスト

休みの日の過ごし方

休みの日は、Aさんのペースで過ごします。

近くのスーパーで、好きなお菓子を買う。

お気に入りのお店で、ひとりでランチ。

月に一度は、実家に帰ってゆっくり過ごす。

ほかの入居者と一緒に出かける方もいれば、ひとりの時間を大切にする方もいます。どちらも、その人らしい過ごし方です。
休みの日に、近所を散歩する様子のイラスト

暮らしの中で、困りやすい場面

ふだんの暮らしはおおむね自分でできても、次のような場面で困ることがあります。

「お給料日まで、お金が足りなくなってしまう」

「病院の予約や、役所の書類の手続きがわからない」

「急に予定が変わると、どうしたらいいかわからなくなる」

「ほかの入居者との行き違いを、うまく伝えられない」

会話がスムーズにできるぶん、周りからは「わかっているはず」と思われやすく、困っていることに気づかれにくい、ということもあります。「わからない」と言い出しにくく、ひとりで抱え込んでしまう方もいます。

暮らしやすくなる工夫

グループホームでは、スタッフと相談しながら、その方に合ったやり方を一緒に見つけていきます。たとえば、こんな工夫があります。

予定は、カレンダーやホワイトボードなど、目で見てわかる形に。

お金は、1週間ごとに分けるなど、使い方を一緒に考える。

書類や手続きは、ひとりで抱えず、一緒に確認する。

困ったことは、その日のうちに話せる時間をつくる。

こうした工夫は、「できないから手伝う」ためのものではなく、ご本人が自分の力で暮らしやすくなるためのものです。うまくいくやり方は人それぞれなので、試しながら、ご本人に合う方法を探していきます。

決めるのは、ご本人です

グループホームは、決められた通りに過ごす場所ではありません。何を食べるか、休みの日をどう過ごすか、どんな仕事をしたいか。暮らしの中のことを決めるのは、ご本人です。

お金のことや契約など、一人では判断に迷いやすい場面では、スタッフやご家族、相談支援専門員など、気軽に相談できる相手がいると安心です。

グループホームから、次の暮らしへ

軽度知的障害のある方の中には、グループホームで暮らしながら、自分でできることを少しずつ広げて、一人暮らしを目指す方もいます。反対に、相談できる人がそばにいる今の暮らしが心地よい、と感じる方もいます。

どちらが正しいということはありません。ご本人が「こう暮らしたい」と思えるかたちを、一緒に考えていくことが大切です。

まとめ

軽度知的障害のある方にとって、グループホームは、自分のペースで地域の中で暮らしながら、困ったときには相談できる住まいです。

自分のペースで暮らす。

困ったときは、ひとりで抱え込まない。

やり方は、一緒に見つける。

そして、どう暮らすかは、ご本人が決める。

そんな毎日の積み重ねが、その方らしい暮らしにつながっていきます。

参考資料

障害の程度や必要な支援について気になることがあるときは、お住まいの市町の障害福祉の窓口や、相談支援事業所にご相談ください。

この記事について

執筆・監修:ちるほーむ
滋賀県草津市・大津市で障がい者グループホーム「ちるほーむ」を運営し、知的障がい・精神障がいのある方の地域での暮らしを支援しています。運営法人・支援方針を見る

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